連載【0カ月からの育児塾】

母乳育児は最初が肝心、 赤ちゃんへの授乳のコツは?

写真はイメージ(Ushico / PIXTA)

赤ちゃんが生まれたら、最初に多くの母親が体験するのが「授乳」。今回は、首の据わっていない生後3カ月までの赤ちゃんの母乳育児のコツを紹介します。

授乳するほど出が良くなる

北海道助産師会会長の高室典子さん(札幌)は「育児相談の中でも特に多いテーマの一つ。スタートで困らないよう母乳の仕組みについて知っておくことをお勧めします」と話します。

母乳は、赤ちゃんが乳頭を吸うことによって、その刺激が母親の脳に伝わり、プロラクチンというホルモンが出ることで、作られます。つまり、授乳するほどプロラクチンの分泌が増え、プロラクチンの分泌が増えるほど母乳の生産量も増えていく仕組みです。赤ちゃんそれぞれの母乳量をオーダーメードで生産できるようになるための、とても合理的な仕組みなのです。

母乳が作られる仕組み

高室さんは「ですから母乳育児は初めが肝心。産後できるだけ早い時期からの授乳が大事なんです。夜だけミルクにする方もいますが、ホルモンは夜に多く分泌されるので、夜間の授乳は実は大切なんですよ」と説明します。

基本の授乳姿勢「横抱き」のコツは?

赤ちゃんは、おなかの中で自分の指を吸って授乳の練習をしているので、生まれた直後から吸う能力があります。ただ授乳の姿勢などが悪いと、赤ちゃんが体をのけ反ったり、嫌がったりする反応を見せます。 

基本の授乳姿勢の「横抱き」は、乳房に対して赤ちゃんの顔と体を正面に向けて授乳する方法です。コツは、飲ませる乳房側の腕のひじあたりに赤ちゃんの頭をのせ、背中からお尻にかけて背骨を補強するように腕で支え、自分の方に引き寄せます。そして、もう片方の手で自分の乳房を持ち上げ、赤ちゃんの口に入れてあげます。

基本の授乳姿勢「横抱き」

生まれたての赤ちゃんの胃袋の大きさはサクランボくらい(5~7ミリリットル)。母乳を飲んでも、排尿・排便ですぐにおなかが空いてしまいます。高室さんは「中には『次の授乳までは3時間空ける』や『左右それぞれ10分ごと』などと時間で区切った授乳方法の方を見かけますが、赤ちゃんは時間で満足はしません。赤ちゃんの飲みたい時に、飲みたいだけ飲ませてあげましょう」と話します。特に最初のうちは、母乳量も少ない人が多いので、何度も飲ませることがコツだといいます。

抱き方が悪かったり、吸わせ方が悪いと、痛かったり、乳頭に傷を作ってしまいがちです。その場合は、赤ちゃんの吸い方が良くないので、我慢せず、仕切り直して吸わせましょう。赤ちゃんが大きな口を開けて乳輪まで吸ってくれていると痛くはありません。

高室さんは「母親1人で頑張るのではなく、困った時には近くの助産師や医師などの力を借りるのも母乳育児を上手に続けるコツです」とアドバイスします。

動画では「授乳に便利なグッズ」や「乳頭にできた傷のケア方法」についても紹介しています。

取材・文/根岸寛子(北海道新聞記者)

もっと知りたい人に

・NPO法人ラ・レーチェ・リーグ日本
母乳や授乳に関する情報やQ&Aなど
https://llljapan.org/

・NPO法人日本ラクテーション・コンサルタント協会
授乳に関する資料や動画など
https://jalc-net.jp/public.html

・北海道助産師会
道内の助産院や妊娠・産後のお助け情報
http://hokkaido-midwife.moon.bindcloud.jp/index.html

・母乳育児支援ネットワーク
災害時の母乳育児支援の情報など
https://bonyuikuji.net/

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