コロナ禍 ママ結束 広がる子育ての輪 オンラインに加え対面増加

転勤族の母親が参加した「ママの学級会」。冬の子どもの服装などについて語り合った=11月、札幌市東区

新型コロナウイルス禍で外出や人と会うことが難しくなり、孤独な環境での子育てを余儀なくされてきた母親同士が支え合う取り組みが広がっている。SNSやオンラインでの交流に加え、道内の感染状況が落ち着いて以降は対面での活動も増加。育児の悩みなどを気軽に話せるママ友づくりの場にもなっており、専門家は「感染が再拡大したときにもよりどころとなる」と期待する。

「雪道でも滑らない靴を教えて」「子どもの冬服はリサイクルショップにも、たくさんあるよ」―。札幌市東区で11月に開かれた子育て支援イベント「ママの学級会」。子どもを連れて参加した母親5人は、冬の子どもの服装や遊び場の情報を熱心に交換していた。

イベントは、札幌市を中心に活動する子育て支援グループ「さっぽろキッズイベンターCoCo」が、夫の転勤で道外から来た母親ら向けに開いた。代表の今美早(みさ)さん(31)も2歳と4歳の子育て中で「コロナ禍でママたちの居場所がなくなってしまう危機感があった。気の合う人がつながれる場所にしたい」と話す。

高まるストレス

人と会う機会が減少し、親同士のつながりを持ちにくいコロナ禍は、育児中の母親に大きなストレスを与えている。明治安田生命保険が9月に発表した健康に関するアンケートでは、回答者全体約5600人のうち約6割がコロナ禍で「ストレスを感じている」と回答。子どもがいる女性に限ると約7割と特に高い割合を示した。

転勤族の母親の精神的負担は、さらに大きい。「友達もおらず、1歳の長女と家にこもるしかなかった」。この日のイベントに参加した札幌市豊平区の母親(33)は昨年、夫の転勤で関東から札幌に転居してきた。「帰省もできず、子どもは親以外と接していない。成長を一緒に見守ってくれる人がいるのは心強い」と話した。

今春、静岡県から札幌に来たという母親(32)も「ママ友をつくるのが本当に大変だった。SNSで探して、なんとか1人と知り合えた」と打ち明けた。初めての土地で、生後10カ月の長女と2人きりの時間も多く「慣れないことばかりで気持ちが疲れた。遊びに行ける場所の話などを直接聞けて良かった」と笑顔を見せた。

ヨガでサポート

一方、札幌市中央区のヨガ講師村田かおるさん(43)は10月下旬、妊娠中や出産後の女性を対象にした無料のヨガ教室を始めた。

村田さんは道内が感染「第1波」に見舞われた昨年2月、長女を出産。公園で親子連れを見かけても「話しかけていいのか」と戸惑い、ママ友もなかなかできなかった。「同じように困った経験があるからこそ、産前産後の女性を支える輪を広げていきたい」と話す。

藤女子大の木脇奈智子教授(家族社会学)は、「母親同士のつながりを強めることは、感染が再拡大したときにも互いを励まし、孤立を防ぐことに生かせる。オンラインと対面を組み合わせながら、子育ての輪を広げてほしい」と話している。

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