連載コラム「瀬川院⻑の子育てカルテ」

生後8カ月 体重が増えない 離乳食、授乳の制限に原因も

Q.質問

生後8カ月の長女の体重をショッピングモールの授乳室で測ったら、この1カ月まったく増えていませんでした。この間元気で病気もせず、離乳食は1日2回食べ、おっぱいも普通に飲んでいるのですが。

A.回答

たまたま測った赤ちゃんの体重が増えておらず受診されたケースです。赤ちゃんの出生後の経過は問題なく、診察でも特に異常はありませんでした。母子手帳を見ると5カ月ごろから体重があまり増えなくなり、7カ月からは横ばいの状態でした。念のため血液と尿の検査を行い、後日また受診してもらいました。

次の診察では、血液と尿検査には異常なく、改めて食事や授乳の様子を聞くと、離乳食は10倍がゆと野菜が中心で、しらすや豆腐、白身魚、鶏ささみなどを食べていました。おっぱいは3~4時間ごとに飲ませるよう指導されたので、それを守っているとのことでした。

以上から、体重が増えなかった理由は、エネルギー不足の離乳食と、制限授乳によるカロリー不足と考えました。対処としては10倍がゆを5倍がゆに、さらに食べられるならもっと濃くしてもらい、タンパク質として鉄分の多い赤みの肉を開始し、3回食に増やしました。おっぱいも赤ちゃんが欲しがるまま制限せずに飲ませるようにしてもらいました。

離乳食の目的は、生後6カ月以降、乳汁だけでは不足するカロリーとタンパク質、鉄・亜鉛・ビタミンAなどの栄養素を食事で補うことです。お米は重要なエネルギー源ですが、いつまでも10倍がゆと野菜が中心ではカロリーが足りません。赤みの肉は、タンパク質に加え、吸収が良い鉄と亜鉛の供給源にもなるので、とても大切です。

2週間後の診察で赤ちゃんの体重は500グラム増えており、お母さんの安心した表情に私もホッとしました。

(瀬川雅史=のえる小児科院長)

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