連載コラム「瀬川院⻑のすくすくカルテ」第31回
週に1度、泣きながら排便 便の塊、直腸ふさいでいる可能性
Q.質問
3歳の長男は、毎日便が出ていても、硬くて量は少なく、週に1度泣きながら大きな塊のような便を出します。またよく便に血がついています。ときどき自力で出せなくなるので小児科でかん腸をして、下剤をもらいますが、癖になるのが心配で薬は続けていません。これからどのようにしたらよいでしょうか。
A.回答
4歳未満の幼児では、排便回数が週2回以下の場合や、痛みを伴う硬い便通、直腸に大きな便の塊があるなどの症状があれば、治療が必要な便秘症と考えます。お子さんの場合、毎日便は出ていても、便が硬く肛門が切れ、出血してしまうようです。また週に1回大きな塊のような便が出るということで、おそらく直腸に「便塞栓(べんそくせん)」があると考えられます。
便塞栓とは、便が塊となって栓のように直腸をふさいでいる状態になっていることです。便秘の治療の基本は、規則正しい生活習慣・食習慣・排便習慣を身につけることですが、便塞栓がある場合はこれを取り除くということがまず重要です。
正常の場合、便は直腸にはたまっていません。直腸に便が降りてくると便意を催すのですが、便秘の子はそのセンサーが鈍っているので便を直腸にためてしまうのです。その便を取り除き直腸を空っぽにし、便が降りてくると排便する習慣をつけることが大事になります。それが規則正しい排便習慣をつけるということで、それによって鈍ったセンサーが少しずつ正常になり便秘が改善されてゆくのです。
排便習慣だけでなく生活・食習慣などに問題があればその対応も大切ですが、薬物療法はそれらの習慣を改善させるための補助療法として欠かせないものです。便秘の薬が癖になることはありません。不適切な排便習慣が癖になっていることの方が問題であり、適切な薬物療法によって便秘は必ず治ってゆきます。かかりつけの小児科受診をぜひお勧めします。
(瀬川雅史=のえる小児科院長)
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