連載コラム「瀬川院⻑のすくすくカルテ」第28回

RSウイルス流行、乳児への感染心配 基礎疾患などあれば重症化も

Q.質問

4歳の長男の保育園でRSウイルスがはやっています。家には生後1カ月の赤ちゃんがおり、赤ちゃんのRSは重たくなると聞いています。兄が保育園でうつってこないか心配です。

A.回答

RSウイルスは呼吸器に感染するウイルスで、年齢を問わず感染します。乳幼児期の感染が特に問題となり、1歳までに50%以上、2歳までにすべての幼児が感染するとされます。毎年7月ごろからはやりだし、9月ごろにピークを迎えるところ、今年は4月すぎから増加しはじめ、流行のなかった昨年に比べ5月30日時点で600倍も多い発生数になっています。

症状はせき、鼻水、鼻詰まりなどの軽いかぜ症状から気管支炎、肺炎などさまざまです。生後6カ月未満で初めてかかった場合、重症な気管支炎や肺炎などを起こすことがあります。また心臓や肺に基礎疾患があったり、低出生体重児の場合は重症化するリスクがあるので注意が必要です。

RSウイルスは生涯にわたって感染を繰り返し、幼児期における再感染はよくあることで、一般に年長児以降では重症化しません。ウイルスの潜伏期間は5日前後で、感染経路はせきやくしゃみなどによる飛沫(ひまつ)感染が主ですが、接触感染もあります。治療は対症療法が中心となります。

さて、保育園でうつらないようにするのは、なかなか難しいものがあります。コロナ対策として行われている手洗いやせきエチケットなどの感染予防策はRSウイルスにも有効ですので、しっかり続けることが大切です。また、RSウイルスはアルコールや次亜塩素酸ナトリウムなどの消毒薬で不活化されるので、適切に使用したいものです。

なお、保育園に行く目安は厚生労働省のガイドラインによれば「呼吸器症状が消失し全身状態が良いこと」となっています。

(瀬川雅史=のえる小児科院長)

Ranking

  • すべて
  • 子育て・教育
2024
3/30
SAT

Area

北海道外

その他