連載コラム「瀬川院⻑のすくすくカルテ」第24回

卵黄を食べると吐く 消化管アレルギーの疑い

Q.質問

生後8カ月の長女に卵黄を1個食べさせたところ2時間後から続けざまに4回吐きました。これまでに2度、卵黄を小さじ1~2杯を食べ大丈夫でしたが、2週間後に再度、卵黄を大さじ1杯食べさせたところ3時間後に2回吐きました。血液検査では、卵に関する反応は何もでませんでした。アレルギー症状なのでしょうか。

A.回答

食物アレルギーには、IgE(アレルギー反応に関わるタンパク質)抗体が関与する「IgE依存性」と、関与しない「非IgE依存性」の二つのタイプがあります。例えば、卵を食べた直後にじんましんが出たら、IgE依存性の食物アレルギーです。

お子さんは、卵黄を食べると毎回嘔吐(おうと)するものの、卵に関する血液検査が陰性なので、非IgE依存性の、新生児・乳児消化管アレルギー(食物蛋白(たんぱく)誘発胃腸症)が疑われます。

この病気にはいくつかタイプがあります。新生児や乳児が嘔吐や血便、下痢などの症状で発症した場合、早期の診断が難しいこともあり、下痢が続き体重がなかなか増えなかったり、栄養不良になったりします。この場合、原因の多くは、牛乳由来の粉ミルクです。

しかし、お子さんは卵黄が原因の消化管アレルギーが疑われます。卵の食物アレルギーといえば卵白に対するアレルギーが一般的ですが、消化管アレルギーの原因は卵黄が多く、最近は離乳食開始後に発症するケースが増えています。消化管アレルギーの原因食物には、大豆、コメ、小麦などもあります。

診断は、原因と思われる食物を食べさせ嘔吐などの消化器症状が現れるかをみます。治療は、原因食物を除去しながら、半年か1年ごとに、原因食物を摂取し症状の有無を確認する試験を行います。3歳で9割以上は改善するとされますが、早期の適切な診断と治療のために、小児アレルギー専門医への受診を勧めます。

(瀬川雅史=のえる小児科院長)

Ranking

  • すべて
  • 子育て・教育
2024
3/29
FRI

Area

北海道外

その他