連載コラム「瀬川院⻑のすくすくカルテ」第23回

コロナワクチン接種 授乳中でも大丈夫? 現段階で懸念認められず

Q.質問

育休から復職したばかりの看護師で、1歳の長女にまだ授乳しています。勤務先の病院で新型コロナウイルスのワクチン接種が始まるようですが、授乳は大丈夫なのでしょうか。

A.回答

いよいよ日本でも新型コロナワクチンの接種が始まりました。ワクチンに対して期待とともに不安の声も聞こえます。このワクチンは極めて短期間で開発されていますが、ワクチン製造に必要なすべてのプロセスを踏んでいて、効果と安全性に関する評価はしっかり行われています。

日本で接種されるワクチンは、ウイルスの表面の突起状のタンパク質(スパイクタンパク)を作るように設計された人工遺伝子メッセンジャーRNA(mRNA)が、小さな脂質の粒(脂質ナノ粒子)でくるまれてできたものです。

ワクチンを注射し体内の細胞に取り込まれたmRNAが体内でスパイクタンパクを作り、これが免疫応答を刺激することで人がコロナ感染から守られます。

国際母乳育児学会(Academy of Breastfeeding Medicine)は、新型コロナワクチンの脂質ナノ粒子が血流を通じ乳腺組織に達する可能性は「まずない」としています。万が一、mRNAが母乳に混入し赤ちゃんが飲んでも消化されるため、ワクチンを打った母親の授乳が赤ちゃんに影響を及ぼすとは考えにくいです。

厚生労働省は新型コロナワクチンについてのQ&Aで、授乳中の女性も「接種することができる」と明記し、現時点で特段の懸念が認められているわけではないことや、海外でも接種の対象とされていることを挙げています。

ただし、妊婦や授乳中の女性に関するデータは不足しており、ワクチンを受けるか悩んでいる人は主治医と相談してください。

(瀬川雅史=のえる小児科院長)

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