連載コラム「瀬川院⻑のすくすくカルテ」第21回

タブレットで動画、止めるとぐずるのが心配 実体験と時間を奪うリスク

Q.質問

家事などで忙しい時、1歳の双子にいつもタブレットで動画を見せています。おとなしくしているので助かるのですが、最近、動画を止めると嫌がってひどくぐずるようになり、気になっています。

A.回答

スマホ、タブレットなどの電子メディアが乳幼児に与える影響は、いろいろなことが分かっています。ある1歳半児の研究で「スマホやタブレットを使いたがったり、取り上げると嫌がる」という依存傾向はスマホを見ている子の半数に認められ、依存傾向はスマホの使用頻度に比例するとされています。

また、別の2歳児の研究では、自制心に問題のある子は日常のメディア接触時間が長い傾向があり、電子メディアは自制心の発達に影響している可能性があるとされています。

電子メディアが乳幼児に与える影響で重大なのは、依存性や自制心の問題だけでなく、「人との双方向性の関わり」への影響です。乳幼児の認知・言語能力、社会性や情緒の発達には、多様な実経験、自由な遊び、信頼できる人との双方向性の関わりが必須です。

電子メディアにも一定の双方向性はありますが、実体験には到底及びません。電子メディアには、乳幼児の双方向性の体験と時間を奪うリスクがあります。

米国小児科学会は電子メディアと乳幼児について、《1》1歳半までは使用を避ける《2》1歳半~2歳までは保護者と一緒に使用する《3》2~5歳は1日1時間を限度に保護者と使用する《4》子どもをおとなしくさせるためだけには使用しない《5》親も家庭で電子メディアを使わない場所と時間を設ける―などと提言しています。

スマホは便利な道具ですが、使い方によっては子どもの発達にとってリスクとなることを理解し、適切に使用したいものです。

(瀬川雅史=のえる小児科院長)

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