守りたい、子どもの歯の健康【後編】

「歯と口の健康週間」に合わせて、前編では子どもの歯がむし歯になるメカニズムや、健康的な歯と歯並びのための生活習慣について紹介しました。後編では、むし歯にしないためのセルフケアと歯医者さんで行うプロのケアについて、引き続き、ちだ歯科クリニック 小児歯科担当歯科医師の片山修平先生にお話を伺いました。

子どもの歯のケア、いつから始める?
親の仕上げ磨きは小学4年生まで

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歯は、はえ始めが肝心。はえたらすぐにケアを始めるのがベストです。はえ始めはガーゼを指に巻いて拭いてあげるだけでもいいですが、歯ブラシのほうがきれいに磨けるので、徐々に慣らしていきましょう。

歯磨き粉を使うのは、うがいができるようになってから。ジェルや泡状の歯磨き粉は、うがいが完璧にできなくても口の中に違和感が残らないので小さな子どもにおすすめです。

むし歯になりやすいのは、唇の裏側に隠れてしまう上の前歯の付け根や歯と歯の間。食事の度に磨くのが理想的ですが、朝と夜、特に寝る前は仕上げ磨きをしっかり行いましょう。糸ようじや子ども用のデンタルフロスを使うとさらにいいですね。

自分磨きではどうしても磨き残しがあるため、小学4年生までは大人による仕上げ磨きは必要です。また、夜間授乳をしている場合は、できれば授乳後にガーゼで優しく拭いてあげてください。

フッ素はむし歯予防に効果的?
シーラントという予防法も

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むし歯予防に欠かせないのがフッ素の塗布です。フッ素には歯の表面を強くしたりむし歯菌が酸を出すのを抑えたりする働きがあります。

フッ素ははえ始めの時期がもっとも効果的。乳歯だけでなく、永久歯も同じ。3カ月に1度の割合で定期健診を兼ねて歯科医院でフッ素を塗布するのが理想的です。永久歯がはえ揃う12歳くらいまで続けてください。

フッ素は過剰に摂取しなければ人体に悪影響を及ぼしません。歯科医院で塗布する高濃度のフッ素も歯磨き粉などに含まれているフッ素も特に心配する必要はありません。

また、フッ素と同じく、子どものむし歯予防に効果を発揮するのがシーラント(溝埋め)です。

奥歯の溝は複雑で深く、歯ブラシの毛先が届きにくいため、そこからむし歯が広がることも。そこで、奥歯の溝をフッ素入りの白い素材で埋めることにより、むし歯を予防する治療法がシーラントです。

シーラントは乳歯と永久歯の奥歯にとって、フッ素と同じくらい有効なむし歯予防の一つとして考えられています。

歯磨きは優しく、細かく。
健康な歯はママパパからの一生使える贈り物

むし歯予防には何よりも毎日の歯磨き習慣が大切です。でも、子どもは歯磨きを嫌がるもの。そこで、歯磨き嫌いにさせないためにも、まずは弱い力で優しく磨いてあげましょう。

ゴシゴシやるよりも、ペンを持つような手つきで細かく優しく歯ブラシを動かすと汚れもよく落ちます。磨く順番を決めておくと磨き残しの対策にも。

子どもは前歯の歯磨きを痛がるので、まずは奥歯を先に、次に前歯に移動します。また、歯科医院でのフッ素塗布や定期健診は3カ月に1度を目安にしてください。

かかりつけの歯科医院を探す際は、なるべく子どもが怖がらずに心地良く通える雰囲気があり、子どもと真剣に向き合う先生がいる歯科医院を見つけてあげましょう。

ラバーダムを使用し、治療する歯だけを露出

ラバーダムを使用し、治療する歯だけを露出(写真は模型で撮影)

また、薬品が口の中に付いたり器具に舌を巻き込んだりしないため「ラバーダム」というシートを使用するなど、子どもの治療の安全に配慮していることを目安に歯科医院を探すことも大切です。

歯は一生使う大事な宝物。子どもが将来おじいちゃん、おばあちゃんになっても、自分の歯でおいしくご飯が食べられるよう、ママやパパから一生ものの贈り物として健康な歯をプレゼントしてあげてくださいね。


取材・文/maruco

教えてくれたひと

片山 修平先生

ちだ歯科クリニック 歯科医師

平成26年北海道大学歯学部卒業。北海道大学小児歯科で研修医として勤務後、ちだ歯科クリニックに小児歯科担当医師として勤務。優しい対応とマジックで、歯医者嫌いの子どもも和ませる。
■医療法人社団 千仁会 ちだ歯科クリニック
住所:北海道札幌市北区屯田5条10丁目8-1
電話:011-744-6551

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