連載コラム「瀬川院⻑の子育てカルテ」

むずむず脚症候群、夜に不快感 8割は鉄剤有効

Q.質問

この数カ月間、5歳の長男が夜寝付くまで、両脚をひどくかゆがります。長いときは眠るまで1時間以上、私が脚をさすることもあります。皮膚科で乾燥肌の治療をしましたが、改善しないので困っています。

A.回答

回答お話からすると、お子さんはむずむず脚症候群という病気の可能性があります。あまり聞きなれない病名かもしれませんが、実は子どもから大人まで幅広く発症することが知られています。ある調査では子どもの3%がむずむず脚症候群だとされています。

この病気は夕方から夜に脚にむずむずするような不快感を覚え、脚を動かしたいという強い衝動にかられる症状が特徴です。小さい子どもは脚の不快感をうまく表現できず、脚が「ピリピリする」「熱い」「痛い」「かゆい」などと言うことがあります。

不快感の訴えがなくても、寝るころになると歩き回る、脚の動きが増えじっとしていられない、左右の脚を互いにこすりつけたり布団などに押しつける、マッサージをせがむ、寝つきが悪い、頻繁に夜起きるなどの症状が出る場合があります。また、夜よく眠ることができないため、日中に眠気が出たり、集中力や行動面での問題が出ることもあります。

この病気の原因としてはドーパミンという脳神経の伝達物質の障害が推定されていますが、子どもは体内の鉄欠乏が大きく関係するとされます。

相談のお子さんの場合、血液検査で鉄欠乏が判明し、鉄剤の内服により症状は消失しました。子どもは鉄剤の有効性が非常に高く、5~11歳のむずむず脚症候群において、鉄剤は8割に有効であるとされます。鉄剤が無効なときは詳しい検査が必要ですので、小児神経の専門医に相談するのが一番よいと思います。

(瀬川雅史=のえる小児科院長)

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