連載コラム「瀬川院⻑のすくすくカルテ」第17回

顔が大きく見えたりゆがんで見えたりします 片頭痛の予防薬で治療

Q.質問

最近、9歳の長女がしばしば、「お母さんや学校の先生の顔が突然大きく見えたり、ゆがんで見えたりする」と言います。数分でおさまり、頭がズキズキと痛くなることもあります。どの科を受診したらよいでしょうか。

A.回答

お子さんの症状は「不思議の国のアリス症候群」と思われます。英国のルイス・キャロルの児童書「不思議の国のアリス」にある、薬を飲んだアリスが大きくなったり小さくなったりするというエピソードにちなんだ病名です。

この病気には、主に《1》自分の体の一部が大きくあるいは小さく感じる《2》見えるものが小さく遠ざかって見えたり(小視症)、逆に大きく近づいて見える(大視症)《3》体が浮いているような感じになる《4》時間の進み方が早くなったり、遅くなったりする感じになる―といった症状があります。

これらの症状が一つ、もしくは複数が組み合わさって現れます。また「離人感」といって、自分の心や体が自分から離れていくように感じることもあります。

原因はまだよくわかってはいませんが、片頭痛やてんかん、EBウイルスの感染によってリンパ節やへんとうが腫れる伝染性単核球症、高熱で意味不明の言動を起こす熱性せん妄、脳炎など脳の病気、睡眠薬中毒などが基礎にあり発症することが報告されています。

お子さんの場合、ズキズキする頭痛(拍動性頭痛)を伴う大視症がみられ、片頭痛に伴う「不思議の国のアリス症候群」と考えられます。片頭痛は小学生でもそれほど珍しくはありません。片頭痛の発作に伴って頻繁に症状が出る場合は、片頭痛の予防薬で治療できると思われます。基礎疾患がなければ、自然に治ることもあります。小児科での相談をお勧めします。

(瀬川雅史=のえる小児科院長)

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