連載コラム「瀬川院⻑のすくすくカルテ」第11回

幼い子どもがマスク嫌がる むしろ手洗いをしっかりと

Q.質問

2歳の長男に、外出時にマスクをつけさせたいのですが、嫌がってどうしてもしてくれません。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のこともあるので、何かよい方法はないでしょうか。

A.回答

昔は小さな子どもにマスクをさせることはまずありませんでした。一般化したのは2009年の新型インフルエンザの流行以降ですが、マスクを嫌がる子は少なくありません。

マスクは子どもの感染予防にどれほど役立っているのでしょうか。インフルエンザの種々の予防法の効果について、日本の子どもで調べた研究があります。ワクチンや小まめな手洗い、マスク、うがいなどについて調べたのですが、予防効果があったのはワクチンと手洗いのみで、マスクは逆にインフルエンザの発症を増やす結果となっていました。

理由としては、子どもの場合、マスクを適切に装着できなかったり、ウイルスの付いたマスクの外側をつい触ってしまったりして、マスク自体が感染源になる可能性が考えられています。マスクは他者にウイルスをうつさないようにする意味がありますが、年齢の低い子どもにとっては、自分にウイルスがうつらないようにするという効果はあまり期待できません。

COVID-19の感染経路は飛沫感染と接触感染ですが、特に接触感染が重視されています。手洗いやアルコール消毒等で手指を衛生的に保つことは、親御さんが手伝えば小さなお子さんでもできますので、習慣づけることが大切です。

COVID-19の感染力は、インフルエンザほど強くないとされます。空気のよどんだ環境での、不特定多数の人との濃密な接触には特に注意が必要ですが、ちょっとすれ違った程度では感染しにくいので、むやみに神経質になる必要はないと考えられます。

(瀬川雅史=のえる小児科院長)

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