子どもの歯を守るため、親が知っておきたいこと
子どもの歯磨き、ちゃんとできていますか? 多くの子どもは歯磨きを嫌がるもの。けれど、むし歯になると子どももママも大変な思いをすることに。歯が生えたらむし歯予防は鉄則です。大切なのは毎日の習慣と定期的な検診。そこで、歯科医の先生に理想的なむし歯予防の習慣について聞きました。
「治療」よりも「予防」が大切
今回、お話を聞いたのは札幌市西区にある奧歯科クリニックの奧貴博院長。はじめに、奥先生は「むし歯は、ごく初期のものを除き、自然に治ることはありません」と話します。そのため、歯医者さんに通って治療しなくてはならず、子どももママも大変な思いをすることに。むし歯の早期発見・治療はもちろん、一番大切なのは日頃からの「むし歯予防」だと先生は強調します。
では、むし歯予防に有効なのは何でしょう?
「最も身近な予防法は、歯磨き(ブラッシング)です」と奥先生。しかし、正しい歯磨きは思っている以上に難しく、歯と歯の境目や歯肉の中にある「プラーク(菌の塊)」は、日頃のブラッシングだけではなかなか除去しきれないのだとか。この放置されたプラークがむし歯の原因に。「家庭だけでなく、定期的に歯科を訪れ、歯科医師や歯科衛生士による専門的な検査や虫歯菌の掃除を行う必要があります」。
定期的な歯科検診でできること
定期的に歯科を訪れることで、検診のほかにもメリットがあるそうです。「お子さんに合った歯ブラシの選び方や正しい磨き方を学び、家庭でのお口の管理の質を高めることも大切です。歯並びやブラッシングの癖、食習慣など、歯を取り巻く環境はご家庭やお子さんによって異なるので、予防のプロである歯科衛生士のアドバイスが欠かせません」と奥先生は話します。
子どもだけでなく、大人もついつい自己流のブラッシングで磨きがち。自分ではできているはずと思っていても、親子一緒に歯科に通って定期的な検診とブラッシングのチェックを受けるのがおすすめです。
また、フッ素の活用もむし歯予防には効果的だと奥先生。「むし歯菌は酸を作って歯を溶かしますが、フッ素にはカルシウムなどを歯に取り戻す『再石灰化』を促進する力があるので、歯を強くしてくれます。また、フッ素を含んだ歯の組織は、普通の歯よりも丈夫で酸に強くなります。
特に、乳歯や中学生ぐらいまでの永久歯は、まだ歯の質が弱いので、この時期のフッ素の活用はむし歯予防に効果があるとされています。自宅でフッ素入りの歯磨き粉や洗口剤などを使うほか、年に数回は歯科で高濃度のフッ化物の歯面塗布を受けると、より効果が高まります。フッ素の使用時期や方法については、かかりつけの歯科で診察を受け、相談してみてください」。
「食べたら磨く」習慣づけを
フッ素はむし歯予防に効果的ですが、必ずしもむし歯を防げるものではありません。奥先生は、むし歯予防には「毎日の習慣」が何より大切だといいます。
「お子さんの歯を生涯健康に保てるかどうかを左右する大きな要素は食習慣。砂糖に代表される糖質は、プラークに触れるとどんどん酸性化し、一定以上酸性になるとむし歯になります。甘いお菓子や清涼飲料水などをお子さんが欲しがるままに与えることは、むし歯の原因に。おやつはほどほどに、食べたら磨く習慣づけが大切です」。
生涯にわたって人の健康を支える歯。子どもをむし歯から守るためには、親のサポートが不可欠です。定期的に歯科で検診を受け、正しいブラッシングの仕方や生活習慣のアドバイスをもらうこと。そして、フッ素の活用でむし歯になりにくい環境を整えることが大切です。
たとえ痛いところがなくても、日頃から歯科に通う習慣をつけておくことが、将来、子どもの口の健康を守ることにつながりそうですね。
Staff Credit
取材・文/加藤洋介(加藤洋介事務所)
写真/加藤洋介(奥先生)、photoAC(その他)
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