連載コラム「瀬川院⻑のすくすくカルテ」第6回

離乳食、卵の始め方は? 生後5~6カ月から与えて

Q.質問

2週間前から生後6カ月の長男の離乳食を始めましたが、まだ、おかゆと野菜が中心です。卵はアレルギーが心配でまだですが、どのように与えたらよいでしょうか。

A.回答

0歳児の食物アレルギーの原因で一番多いのが鶏卵です。アレルギーが心配で卵を始められないという話をよく聞きます。今年改定された厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」によれば、卵は「生後5~6カ月から開始」となっています。実は2007年の支援ガイドでは、卵の開始は「7~8カ月」でした。開始時期が2カ月早まったのです。

これにはいくつかの理由があります。一つは卵など特定食品(食物アレルギーの原因となる食品)の開始を遅らせても、アレルギーの予防になるという根拠がないことです。

また、きちんと皮膚の治療をしたアトピー性皮膚炎の赤ちゃんに対して、少量の卵を生後半年から毎日食べた群と、卵を除去した群で比較したところ、卵を食べた方が卵アレルギーの発症が8割も低いという結果が示されました。つまり遅らせるのではなく、早くから食べた方が食物アレルギーになりにくいのです。

実際に卵を与える場合、二つに分けて考えます。まずアトピー性皮膚炎のない赤ちゃんは、卵を食べて強いアレルギー症状が出るリスクが低いので、生後5~6カ月頃からしっかり加熱した卵黄を開始し、さらに生後7カ月から、よく加熱した全卵を少量から始めるのが基本となります。

アトピー性皮膚炎のある場合は、湿疹の治療が重要です。これは卵の抗原(アレルギーを引き起こす物質)が皮膚から侵入し、食物アレルギーのリスクになるからです。卵は除去するのではなく微量を摂取するのが基本なので、心配な場合は医師に相談することをお勧めします。

(瀬川雅史=のえる小児科院長)

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