連載コラム「瀬川院⻑のすくすくカルテ」第5回

ハチ刺傷“2度目”が心配 重大な反応のリスク低め

Q.質問

4歳の娘が家の庭でハチに刺されました。ハチの巣があったので業者に駆除してもらうと、ケブカスズメバチという種類でした。刺されたところが少し赤く腫れただけだったのですが、今度またハチに刺された時のことが心配です。

A.回答

子どもは外で遊ぶ機会が多く、ハチはどこにでもいるので「また刺されたら」と心配するのはもっともです。スズメバチ、アシナガバチ、ミツバチなどのハチに刺されると、それらのハチ毒によって多様な症状が出ます。刺された箇所に皮膚の痛みと発赤、腫れが生じるのが一般的ですが、離れたところに症状が出る場合があります。さらには呼吸困難や血圧低下、ショック症状などのアナフィラキシーが起きることもあります。

一般に、子どもは大人に比べてハチ毒による強いアレルギー反応は起きにくいとされます。また、ハチ刺傷による全身性反応は、子どもでは皮膚の症状がほとんどで、大人に比べて呼吸器・循環器系の症状は少ないとも言われます。2回目のハチ刺傷で全身性のアレルギー反応が出る頻度は、子どもでは1%以下という報告があります。大人の頻度は最大9%とされており、子どもの場合、重大な反応が出るリスクは極めて低いのです。

ハチ毒アレルギーがあるかどうかは血液検査などで調べることができますが、子どもは次に刺されても強い反応が出る可能性が低いことから、重症な全身性反応があった場合を除き、詳しい検査を行う必要はないとされています。

日本ではハチ毒アレルギーに対する免疫療法が子どもには行われておらず、根本的な治療はできません。自然が多い戸外で遊ぶときなどは、ハチを寄せ付けないような服装をするなどの予防策が重要となります。

(瀬川雅史=のえる小児科院長)

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