連載コラム「瀬川院⻑のすくすくカルテ」第4回

単純性股関節炎ってどんな病気? 完全に治るまで通院を

Q.質問

7歳の長男です。昨日まで何ともなかったのに、朝起きると右足が痛くて歩けないと言い出し、慌てて病院に行くと「単純性股関節炎」と診断されました。安静にしていれば自然に治ると言われましたが、どのような病気なのでしょうか。

A.回答

単純性股関節炎は、股関節の痛みを伴う子どもの病気では一番頻度が多く、3~8歳に最も多く発症します。その約7割は発症1~2週間前に気道感染症にかかっているとされ、ウイルス感染の影響が考えられていますが、原因はよくわかっていません。

症状は、前日まで全く元気だったのに、朝起きたら片方の太ももや膝が痛くて足を引きずらないと歩けない、もしくは全く歩けない―という状態になります。熱が出ることもありますが、あまり高い熱は出ません。

診断は、突然の股関節の痛みと股関節の動きの制限に加え、エックス線や超音波検査で股関節の関節の隙間に液が多くたまっていることが分かると、可能性が高くなります。他の股関節疾患と区別するには、磁気共鳴画像装置(MRI)検査がとても有用です。股関節に細菌が感染する「化膿(かのう)性股関節炎」という病気は重大で、緊急に適切な治療をしないと後遺症を残すことがあるのですが、それと区別するのに役立ちます。

血液検査では、炎症反応が高い場合は、化膿性股関節炎との見極めが必要になります。その場合、股関節から関節液を採取する検査をしますが、これは整形外科でなければできません。

単純性股関節炎は「股関節のかぜ」と言われることがあり、ほとんどは数週間しっかり安静にすることで後遺症なく治ります。症状の強い場合は入院治療をすることもあります。他の重大な病気ではないことの確認が必要ですので、完全に治るまで通院が必要です。

(瀬川雅史=のえる小児科院長)

Ranking

  • すべて
  • 子育て・教育
2024
3/29
FRI

Area

北海道外

その他