連載コラム「瀬川院長のすくすくカルテ」第3回

激しい運動で強い頭痛 事前の抗炎症薬が有効

Q.質問

1年前から柔道を始めた9歳の次男についてです。3カ月ほど前から、練習が激しくなると頭痛が起きるようになりました。ズキズキする強い痛みで、練習を中断しなければならず、最近は体育の授業中にも時々頭痛が出ます。脳外科での磁気共鳴画像装置(MRI)検査では異常はなかったのですが、とても心配です。

A.回答

柔道の練習中に起こる激しい頭痛発作ということですね。子どもの頭痛で1番多いのはかぜや発熱のときですが、大人によく見られる片頭痛などの頭痛性疾患は、意外と子どもにもあります。お子さんの症状は片頭痛に似ていますが、症状から判断すると「一次性運動時頭痛」という頭痛と思われます。

一次性運動時頭痛は、子どもでは比較的まれな病気で、運動中や運動後に激しい頭痛が引き起こされるのが特徴です。運動以外の要因で頭痛は起きません。運動はランニングや格闘技など種目を問わず、比較的短時間の激しい運動で誘発されます。とくに気温が高いときや、高所などの土地で起こりやすいとされます。

頭痛の性質は多くがズキズキとする拍動性で、片頭痛の症状と似ています。持続時間は数分から48時間ですが、半数は5分以下とされます。

診断は、激しい肉体的な運動の最中や後にのみ頭痛が誘発され、その持続は48時間未満で、診察やMRIなどの画像検査で他の頭痛性疾患ではないことが要点になります。片頭痛とは異なる病気ですが、片頭痛を併せ持っていることがあります。この頭痛の原因はよくわかっていません。

治療としては、運動の一定時間前に非ステロイド系抗炎症薬を飲むことが有効です。なお一次性運動時頭痛の多くは、数週間から数カ月にわたり繰り返した後に発生しなくなるとされています。

(瀬川雅史=のえる小児科院長)

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