連載コラム「瀬川院⻑のすくすくカルテ」第1回

紙巻きと加熱式 受動喫煙の違いは なお残る健康へのリスク

Q.質問

来月初めての赤ちゃんが生まれる予定です。夫がこれを機に紙巻きたばこから加熱式たばこに替えると言っていますが、受動喫煙などについて何か違いはあるのでしょうか。

A.回答

加熱式たばこへの変更は、ご自身の健康と周囲への影響などを考えてのことだと思います。ある調査によれば、日本の喫煙者の約2割はすでに加熱式たばこを使用しています。1番の理由は「害が少ないと思った」で、2番が「周りへの迷惑を避けるため」とのことです。では、加熱式たばこは本当に害が少ないのでしょうか。

ある加熱式たばこの宣伝によると、紙巻きたばこに比べ九つの有害物質が約9割減っているそうです。しかしここで誤解してはならないのは、たとえ有害物質が9割減ったとしても、病気のリスクが90%減るわけではないということです。

虚血性心疾患を例にとると、1日20本の喫煙本数をたとえ1本に減らしたとしても、病気になるリスクは半分にも減りません。加熱式たばこには、紙巻きたばこと同様に、九つどころか非常に多くの有害物質が含まれています。有害物質がたとえいくつか減ったとしても、加熱式たばこを長期に使用することは、やはり健康へのリスクとなるのです。

加熱式たばこの受動喫煙に関する医学的データはまだ十分ではありません。しかし、加熱式たばこ使用者の呼気には有害物質を含む大量の浮遊粒子状物質が含まれています。それらを受動的に吸うことは、健康へのリスクになり得ると世界保健機関は述べています。副流煙が出ないからといって、赤ちゃんのいる室内で加熱式たばこを使用するのは控えるべきです。そしてこれを機に、ご家族とご本人のためにも、完全に禁煙することをお勧めします。

(瀬川雅史=のえる小児科院長)

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