連載コラム「瀬川院長のすくすくカルテ」第36回

よく吐く乳児 飲み過ぎ、母乳の分泌過多も

Q.質問

2カ月の長男が最近、よく吐くので心配です。おっぱいは1日8回くらい飲んで、ミルクも毎回50ミリリットルくらい飲みます。飲み終わった直後に大量に吐くこともあれば、1~2時間後に吐くこともあります。出生体重は2786グラムで、1カ月健診では4530グラム、生後2カ月で測ったときは5965グラムでした。

A.回答

赤ちゃんは機嫌がよく、診察では病気らしい所見はありません。体重は最初の1カ月で1日約60グラム、次の1カ月では1日約50グラム増えています。この時期は1日30グラム増えていればよいので、体重増加はきわめて良好です。

赤ちゃんの胃は小さく、食道と胃のつなぎ目がいつも開いているため、ちょっとしたことで吐き戻します。発育良好で授乳のたびに吐く場合、まず飲み過ぎを疑います。

待合室で授乳してもらい哺乳量を測ってみると、5分で片方の乳から110ミリリットル飲んでいました。両乳を飲むと、約200ミリリットルも母乳を飲んでいることになります。ミルクもとなれば、これは明らかに飲み過ぎで、吐くのはこれが原因と考えられます。まずはミルクをやめることです。

しかし、これですべて解決というわけではありません。5分で110ミリリットルの哺乳量というのは、母乳が分泌過多になっている可能性があります。お母さんに聞くと、乳房が常に張っていてしこりができやすく、すでに2回、乳腺炎になっていたことが分かりました。これは分泌過多が原因と考えられます。

いつもは左右の乳房を10分ごとに切り替えて授乳しており、授乳後、毎回搾乳していたことも分かりました。短時間の切り替え授乳と授乳後の搾乳は、どちらも母乳の分泌への過度な刺激となり、多く出過ぎてしまうのです。

そこで、すぐにどちらも中止してもらい、片側を時間の制限をせずに、しっかり飲んでもらう授乳法を行うことで、母乳の分泌は次第に落ち着いてゆき、赤ちゃんの吐き戻しもあまり起きなくなりました。

(瀬川雅史=のえる小児科院長)

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