連載コラム「瀬川院⻑のすくすくカルテ」第35回
肛門にいぼ? 便秘の治療が重要
Q.質問
生後10カ月の長女の肛門のすぐそばに、いぼみたいなものがあります。便秘気味で、排便時に痛がって泣いたり、ときどき便に血がついたりすることもあるのですが、関係あるでしょうか。
A.回答
これは「見張りいぼ」と呼ばれるものです。便秘で便が硬いとしばしば肛門に裂け目(裂肛(れっこう))ができます。排便のたびに繰り返し裂け目ができ、それが次第に深くなると炎症を起こします。肛門に慢性的に裂け目があり炎症を繰り返すと、裂け目の周りに皮膚が「いぼ」のように盛り上がってきて、これが見張りいぼといわれています。
見張りいぼは男児にも見られますが、8割は女児です。多くは生後7カ月以降で、離乳食が進み便が硬くなる時期に発症します。
治療は炎症の強い場合に軟こうを使用します。局所を清潔に保つことも大事です。便秘で便が硬いことが原因なので、便秘の治療が一番重要です。排便のコントロールが順調であれば、裂け目が繰り返しできることがなくなるので、見張りいぼは自然に小さくなります。完全に消失するまでには数カ月から1年ほどかかるとされます。
Q.質問
3歳の次男がウンチでふんばっていると肛門からいぼみたいなものが出てきます。すぐに引っ込んでしまい、痛がるようなそぶりはありません。
A.回答
これは外痔核(がいじかく)と思われます。痔核とは肛門部に発生した静脈のコブで、肛門に近いものを外痔核、奥にできるものを内痔核(ないじかく)といいます。痔核は大人の病気と思われがちですが、子どもにも発生します。排便時に痛みや出血を起こすこともありますが、このケースのように症状がなく、排便時に痔核が肛門部に飛び出して気づかれることがあります。
便秘で便が硬い場合は便秘の治療が必要です。また局所の清潔を保ち、必要に応じ軟こう治療を行うことで改善します。大人と異なり手術を要することはまれですが、腫れや痛みなどがひどくなる場合には専門医の受診を勧めます。
(瀬川雅史=のえる小児科院長)
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