連載コラム「瀬川院⻑の子育てカルテ」

食物依存性運動誘発アナフィラキシー 特定の食物+激しい運動で症状

Q.質問

中学2年の次男が午後の体育でサッカーをしているとき、全身にじんましんが出て息が苦しくなりました。半年前にも同じことがあり、小児科で「食物依存性運動誘発アナフィラキシーの疑い」と言われたのですが、どういう病気なのでしょうか。

A.回答

「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」とは、特定の食物を摂取した後に運動することによって、全身のじんましん、呼吸困難や血圧低下、意識障害などの全身性のアレルギー症状が誘発される病気です。学童期以降の10~20代に初めて発症することが多いとされます。

原因食物の大部分は、わが国では小麦とエビです。食べた後、多くは2時間以内に急激に強いアレルギー症状が現れます。特にサッカーやランニングなど、運動が激しいほど病気が起きやすくなります。ただし、特定の食物を食べただけ、もしくは運動しただけでは症状は出ません。

病因は、運動によって、アレルギーを引き起こす食物(抗原)の腸粘膜からの吸収が増加するためと考えられています。診断はアレルギー歴や発症時の状況などを詳しく確認し、ぜんそくや食物アレルギーなど他の病気と区別することが重要です。その上で血液検査や皮膚試験などを行いますが、原因食物を特定できるとは限りません。

原因食物が明らかな場合は、運動前にその食物を食べないようにする。もし食べた場合は、少なくとも2時間は運動を避ける必要があります。また、発症に備えて抗アレルギー薬やアドレナリン自己注射薬が処方されることもあります。

繰り返し症状が出るにもかかわらず、原因食物が明らかでない場合は誘発試験を行いますが、これは専門の施設で行う必要があります。いずれにしろ、この病気の正しい診断と検査、治療についてはアレルギー専門医に相談することをお勧めします。

(瀬川雅史=のえる小児科院長)

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