連載コラム「瀬川院⻑のすくすくカルテ」第13回

アレルギー性鼻炎、免疫療法とは? ダニのエキス投与、反応弱める

Q.質問

10歳の長男が、ダニによるアレルギー性鼻炎で治療を受けています。一番つらい症状は鼻詰まりで、いろいろな薬を使ってきましたが、すっきりと良くならないため、ダニの「舌下免疫療法」を勧められました。どのような治療なのでしょうか。

A.回答

アレルギー性鼻炎には一年中症状の出る通年性と、一定の時季だけに起きる季節性の二つのタイプがあります。通年性のアレルギー性鼻炎は0~4歳で4%、5~9歳で23%、10~19歳で37%の頻度で認められ、その主な原因はダニです。室内のダニの除去や薬物治療などで改善が得られない場合、次の治療方法となるのが免疫療法です。

免疫療法とは、ダニのエキスを時間をかけて少しずつ体内に入れることで、ダニに対するアレルギー反応を少しずつ弱めるという治療法です。エキスがどのように作用して治療効果が得られるのか、はっきりとした仕組みはまだわかっていません。

ダニの投与法は、皮下注射と、錠剤などを舌の下に入れて口の粘膜から吸収する「舌下投与」があります。舌下投与の方が安全で便利なため、現在はこちらが主流です。治療の前に、アレルギー性鼻炎の原因がダニであることを検査によって確認しておく必要があります。原因が異なる場合は効果が望めません。

最初の舌下投与は医師の前で行い、その後30分は副反応が出ないか、医療機関内で観察する必要があります。投与後は、口の中や舌がかゆくなったり、腫れるなどの症状が出ることがありますが、治療1カ月をすぎると減っていきます。全身性の強い副反応は非常にまれです。

治療は3~5年間必要で、効果はゆっくりと表れます。治療効果は、完治20%、非常に有効30%、有効30%、無効10~20%と報告されています。子どもは6歳から治療できますので、耳鼻科もしくはアレルギーに詳しい小児科にご相談ください。

(瀬川雅史=のえる小児科院長)

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