もうすぐ夏休み! 旅行ジャーナリスト・村田さんに聞く「旅育」のススメ

夏休みまであと少しとなりました。今年は家族で旅行をする人も多いのでは。これまでの子連れ旅にひと工夫加えて、「子どもが育つ旅」にしてみてはいかがでしょうか。子どもと一緒に計画を立てて準備をすることで、旅先での子どもの目の輝きが変わるはず。生きる力を育む「旅育(たびいく)」を勧める専門家に、準備のポイントを聞きました。

好奇心が芽生え、大きな学びに

旅行ジャーナリストの村田和子さん(53)=兵庫県在住=は、子どもの自主性や感性を伸ばす子育てに旅を役立てる「親子の旅育メソッド」を提唱しています。非日常に身を置く旅はそれだけで刺激になりますが、「親子でコミュニケーションを取りながら準備することで、学びを大きくできる」と説明します。

村田和子さん(本人提供)

村田和子さん(本人提供)


一緒にテーマを決めて準備

まず旅の計画は子どもの興味をヒントに。ふだん本やテレビを見ていて「面白い」と感じている物事を手がかりに旅のテーマを「泳ぎたい」「果物狩りをしたい」などと選び、家族で「作戦会議」を開きます。ここでは子どもが出した意見を尊重することが重要。幼児の場合は、親が日程や計画を複数提案して選ばせた上で、内容を足したり引いたりするのがお勧めです。「旅に出る時はわくわくする一方で、初めてのことに不安を感じるもの。『自分で決めた』ことだと頑張れる」と村田さん。

帰省は日程や経路が決まっていることが多いので、滞在中に何をするか、一緒に考えてみると良いでしょう。

乳幼児との旅は荷物が多く移動も大変。村田さんは「どこへ行くかより、何をするかが大事」として、電車やバスで少し離れた初めての場所へ行くだけでも旅として十分といいます。準備段階で大人が疲れないよう、張り切りすぎにも注意です。

わくわく感と自己肯定感を高める声かけを

準備で心がけたいのは「わくわく感を高める」こと。旅のイメージを子どもに伝えることが重要です。主に《1》いつどこで何をするか《2》移動にかかる時間《3》移動中に何をするか―の3点。「体験の前に情報を得ておくと、好奇心の芽生え方が違う」と村田さん。

幼児との外出で一番の心配は公共交通機関でしょう。どれくらい乗るか、シートベルトは必要かを説明しておくだけで、落ち着きが違うといいます。地図でルートを確認しておくと、窓から見える景色を予想して楽しめます。移動中に遊ぶものを一緒に選んでおくのも良いですね。スマホなどは騒ぎだしてから渡すのではなく、事前に時間を決めて使いましょう。スマホで旅の情報を調べるのも良いですが、子どもは乗りもの酔いしやすいので移動中は避けたいところです。

ふだん公共交通機関に乗る機会がない親子は、慣れるために週末に近場へ出かけてみては。旅行の出発まで日程に余裕があれば、親子で一緒に、浮輪など旅先で使うものを買いに行ったり、インターネットなどで下調べしたりすると、子どもの気分も盛り上がります。

旅先では子どもが納得するまで「なぜ」「なに」に付き合うことが重要。さらに、自宅に帰ったら思い出を形にしてもいいですね。例えば、親子で写真1枚を選び、見えるところに張っておく。村田さんは「親が『この時頑張ったね』と声をかければ自己肯定感を持つことができ、日常の自信につながる」と話します。

家族でわくわく旅のプランを作ろう

外の世界を体験 人生を歩む礎に

子どもと旅をする理由は何でしょうか。村田さんは「異なる世界に触れることで、自分の日常が大きな社会のほんの一部であると気付きます。それが心を強くし、困難を乗り越えて前向きに人生を歩む礎になります」と話します。

旭川市の主婦、東海林圭子さん(48)は子どもたちが3歳と5歳の時にタイを旅しました。「どれほど記憶に残るのかと思いましたが、6年たった今も『トゥクトゥク(三輪タクシー)面白かったね』と話します。これからさまざまなことを学ぶ中で、知識と体験が結びつくのだと思います」。昨年、村田さんが講師を務め北海道観光振興機構(札幌)が道内5カ所で開いたワークショップに親子で参加し、計画の立て方を学びました。「もらった北海道地図を部屋に張って『化石を見に行こう』と話しています。子どもたちは外の世界に興味津々」といいます。

小学生になると、親と離れて参加するサマーキャンプや体験プログラムが増えます。航空会社によっては1人で搭乗できます。一人旅の成功体験は大きく自信につながる上、一人前の客として扱われると「しっかりしよう」という意識も芽生えます。親は心配しがちですが、観光施設や宿泊先に幼児向けの体験があれば、子どもだけで参加してみてはどうでしょうか。

取材・文/山田芳祥子(北海道新聞記者)

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